最近流行りのグレインフリーについて、管理栄養士でペット栄養管理士である私の見解を書いてみます。
穀類(米、小麦、とうもろこしなど)を含まないグレインフリーのフードが流行っています。
小腸が短い犬は、ヒトよりも穀類の消化は得意ではありません。また、小麦など麦に含まれるグルテンのアレルギーがある犬もいます。
そのため、グレインフリーやグルテンフリーが良いという考えがあります。
だからと言って、『グレインフリー=穀類全てを除去』にする必要はないと考えています。
穀類は、生の状態では人間でも消化できず消化不良を起こします。加熱してα化したデンプンであれば、犬も消化可能でエネルギーとして利用できます。
肉や魚といったタンパク質中心の食事では、肝臓や腎臓に負担がかかります。実際に、うちのびおらは肉、魚の量が多いとBUN(尿素窒素)が上がります。
実際に販売されているグレインフリーのフードは、かぼちゃやさつまいも、豆類で炭水化物を補っているものが多いようです。かぼちゃやさつま芋も量が多いと穀類より血糖値が上がりやすくなる場合もあります。
また、豆類は穀類以上に消化の悪いものが多く、加熱不十分の場合、害になるものもあります。
小麦も食物アレルギーの症状が出る場合は除去した方が良いですが、特に問題がなければグルテンフリーにする必要はないでしょう。
『消化が悪い=食物繊維が多い』ということになりますが、野菜の皮などに多いセルロースやヘミセルロース、リグニンなどの方が消化が悪いのが実際です。
腸内環境を良くするためにある程度の食物繊維は必要で、不溶性、水溶性食物繊維とも適度に入っているフードを選びましょう。
消化・吸収能力は個体差があるため、市販フードや手作り食でも排泄された便をよく観察し、また体重や皮膚の状態などに変化がないか観察して、愛犬に合っているか評価することが大切です。